仁義なき2本立て

夏りょうこの2本立て映画案内
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クモとハエ

スパイダーマン2009年・日本

 監督:サム・ライミ 出演:トビー・マグワイア ウィリアム・デフォー キルスティン・ダンスト


この手のシリーズは、見ても内容をほとんど忘れてしまうのがよいところ。おかげで何度見ても楽しめる。

当初はトビー・マグワイアのコスチューム姿を見るのが悲しかったが、それがシリーズ3では「適役かも」という気さえしてきたのだから、ハリウッド恐るべしである。

でも、最近どうしてるのかなあ〜トビー…。



この手のシリーズは、ストーリーはどうでもよくて、悪役が主役なのがよいところ。とはえ、「悪にもワケあり」という面が日本人好みではあったが、悪役ウィリアム・デフォーの顔が変身前後でたいしてインパクトが変わらないのは、失敗では?


 一方、シリーズ2のDr.オクトパスは珍しく強敵で、タコが造形的にちょっとコミカルでもあり牧歌的でもあるせいか、こんな奴にスパイダーマンがやっつけられてるという図が意外に快感。こういう映画は、ヒーローが意地悪く卑怯にさんざん打ちのめされてこそ、なんぼのもんである。


ところで、そろそろ新作が新キャストで公開される。内容はご多分にもれず「スパイダーマン前夜物語」ということで、「バットマン・ビギニンズ」より深みはなさそうだけど、あのコスチュームがピーターの手縫いだったという笑劇の事実が…。

キャット・ウーマンかい!

まさか目新しいところが1つもない作品なわけない…よね?



ザ・フライ1986年・アメリカ

 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 出演:ジェフ・ゴールドブラム ジーナ・デイヴィス


スパイダーマンも、一歩間違えばこうなっていたわけである。この映画の何が怖いかって、歯が抜けたり背中が盛り上がってきたり体液の色が変わったり、そうやって体がどんどん人間じゃなくなっていく様がリアルだったこと。

映画「第9地区」で主人公がエイリアン化していくのを見て私はこのハエ男を思い出したのだが、哺乳類から昆虫になるのって嫌ですねえ。

だけど、変身中?に板チョコレートをバカ食いしはじめたのは一体なんなの…ハエはカカオが好き?いまだに謎である。



実はラブストーリーなので妙に切なく、銃を手にしたジーナ・デイヴィスが立ったまま泣いているラスト・シーンが忘れられない。

続編はなかったことにしよう。 

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南極ライフさまざま

 

南極料理人2009年・日本

 監督:沖田修一 
 出演:
堺雅人 生瀬勝久 きたろう 豊原功補 高良健吾  

 
「かもめ食堂」「食堂かたつむり」系のいわゆるグルメ映画(単に料理が美味しそうっていうだけの意味)だと思って見る人も多いだろうが、南極ライフを垣間見ることができるという見所は捨てがたい。


いや、実は私も最初はそれほど期待はしていなかった。

原作は読んでいたが、映画の方は、役作りのためにちょっと太った堺雅人を見てみたかっただけ。

料理については、南極基地ならではの創意工夫を知りたかっただけ。

それが思ったよりも面白くて、本当に映画は期待しないに限りますね。


狩猟系動物であるオスには、雪に閉じ込められた生活はさぞつらかろう。そのつらさがおかしくもあり、哀しくもあり。食欲が唯一の娯楽なのだから、それならめいいっぱい楽しもうという人間のサガ。ああ、私も医務室の
Barでカクテルを飲んでみたい。


きたろう演じる隊員が、ラーメンが食べくて食べたくておかしくなってしまうシーンがある。

ラーメンに執着する様が男の子らしくて、この人たちは遊んでいるのだろうか?などと思ってしまった。これが女子の集団ならば、こういったラーメン騒動はないと思う。


気軽に楽しめる作品ではあるが、堺雅人の笑顔の裏に想いを馳せると複雑な心境に…ちょっと作り笑い的な彼の笑顔が、この作品にはマッチしている。

南極日誌2005年・韓国

 監督:イム・ピルソン  
 出演:
ソン・ガンホ ユ・ジテ キム・ギョンイク 


南極という閉鎖的な極限状況下に置かれたソン・ガンホが、次第におかしくなっていくという映画である。ある意味では、南極に行くとみんな精神に異常をきたしてしまうのではないかというイメージを植えつけられるわけだが、南極を舞台にしただけのホラー映画なので、そこらへんは気にしないでください。


でも、ソン・ガンホが静かに狂っていく様は、さほど怖くない。

真っ白い世界はストレスだろうけど、なぜそんなに耐えられないのかがよく伝わってこないので、自家中毒を眺めているようなもの。

「日誌」にホラー・ポイントがあるのも使い古された感があり、う〜ん。

ソン・ガンホの作品選びに疑問が…ファンだから見ちゃったんだけどね。

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ヒトラーにまつわること

 

ヒトラー〜最期の12日間〜2004年・ドイツ

 監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル 
 出演:
ブルーノ・ガンツ アレクサンドラ・マリア・ララ  


敗戦を悟ったヒトラーが自殺するまでの12日間を描いた衝撃的作品。その状況を間近で見ていた秘書の証言から作られたとのことだが、滅びに向かっていくまでの凄まじい緊迫感と、その運命を淡々と受け入れていく人間の姿が静かに身に迫る。

特に強烈な印象だったのは、ヒトラーの愛人エヴァとゲッベルス夫人だ。

共に自殺する直前にヒトラーと結婚したエヴァ。
自らの手で愛する子供たちを安楽死させたゲッベルス夫人。

彼女たちの心理的葛藤や覚悟は、一見無表情にも見える微妙な目の動きや何でもない会話から察するにあまる。

私も一応女だからね。男はいいんだよ男は。


そこには善も悪も憎悪も評価もない。彼らの哀れな末路をあざ笑うこともできず、ただただ哀しくやるせない気持ちになるだけだ。


それにしてもこういう映画は終わり方が難しいと思うのだが、これまたエンディングがいいんだよね〜後味が悪くなくて、つらい話だったけど見てよかったという気持ちにさせられる。

さすがだなドイツ映画。

 

ワルキューレ2008年・アメリカ=ドイツ

 監督:ブライアン・シンガー 
 出演:
トム・クルーズ ケネス・ブラザー


第二次世界大戦時に実際にあったヒトラー暗殺
未遂計画をモチーフに、トム・クルーズがその中心的人物を演じたサスペンス

しかしその心意気は買うものの、トムがどうしてもドイツ人に見えず、「こんなドイツ人もいたことを歴史に残したかった」という発言に違和感あり。俳優にとっていかに見た目が大事なのかを痛感した作品でもある。


そりゃ他の俳優もドイツ人将校には見えないし、セリフも英語ですよ。

でも、トムのあのりっぱな鼻がいろいろ邪魔になっているのは確か。第一、ドイツのストイックな軍服が似合わないもの。

トムが出ているだけでせっかくの感動実話がちゃらいアメリカ映画になってしまうとは、ハリウッドスターの娯楽性ってすごいな。 

とはいえ、歴史的事実に対するある種の感動は残るので、こういう作品は作り続けてほしいものだ。

トムじゃなかったら映画化されなかっただろうしね。がんばれトム。  

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本当に生きたい?

 生きる(1952年・日本)

  監督:黒澤明 
  出演:志村喬 金子信雄 関京子 小堀誠 浦辺粂子 


いわずと知れた黒澤明の代表作。

「生きる」というタイトルを聞いただけで「命短しぃ〜恋せよ乙女ぇ〜」と歌いながらブランコに乗っている志村喬の姿が目に浮かぶが、 私がもう一つ思い出すシーンは、自分の余命が幾許もないことを知って絶望する主人公が、ピチピチした若い女の子に「君はどうしてそんなに生き生きしているんだ?」と聞くと、その子が「あら、私毎日こんなのを作っているだけよ」と言って白いウサギのオモチャを取り出すシーンだ。


背中のネジを巻かれ、タタタタタと2人の前をひたすら走る小さなウサギ。

「仕事が退屈だから辞める」というこの女の子とネジを巻かれたらただ動くこのオモチャを見て、「なんてストレートでシンプルな世界なんだ」と妙に感じ入った記憶がある。

元気一杯で跳ねるウサギってとこがうまいよなあ。




生きない(1998年・日本)

  監督:清水浩  
  出演:ダンカン 大河内奈々子 尾美としのり 温水洋一


保険金目当ての自殺バスツアーのメンバーに、そんなことは何も知らない一人の若い女性が紛れ込む。彼女は何も知らないまま、暗い事情を抱えたほかの旅行客と一緒に旅に出る。

なんて悲劇的なシチュエーション。

だけど、最初からクスクス笑いがとまらない。

脚本がダンカンなだけに、つかみどころのない不気味さとユーモアが絶妙だ。

そして衝撃のラストも、「ごめん、不謹慎で」と誰かに謝りつつプッと噴出してしまう。


人は生きたいと思い、生きたくないと思いながら生きている。

死はいつどこからやってくるかわからない。自分の意志ではどうにもならないものが死。

それを自分の力でどうこうしようなんておこがましいのではないか。そんなことすら思わせてくれる。


それにしても、みんなで自殺(一種の心中)する覚悟で参加するバスツアーって、どんなんだと思います?どうせ死ぬのに観光したりご馳走食べたり温泉入ったり。なんだかそれが哀しくて可笑しい。

そして、本当に死にたいんだか死にたくないんだかだんだんわかんなくなってくる姿を見て、またプププと笑ってしまう。人間ってそんなもんだ。

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ゲイシャは日本の魂

 SAYURI(2005年・アメリカ)

  監督:ロブ・マーシャル 
  出演:チャン・ツイィー  渡辺謙 ミシェル・ヨー 


この映画については、
「こんな芸者はいない」「日本の伝統文化がわかっていない」「なんだあの花魁道中は」などとそのトンチンカンぶりが指摘さ、賛否両論ばかりが話題になっていた。

しかし、
桃井かおりとコン・リーがヤンキーのごとく顔面スレスレにガンをつけて睨み合う。

このシーンを見られただけでもありがたいと思わねば、バチが当たるというもの。

映画に何を求めるのかは人それぞれだが、ロブ・マーシャルにこれ以上のことを求めてはいけない。理屈抜きに監督の世界観に身をゆだねてこそ浮かぶ瀬もあれ、ということを思い知る一作である。

意外にも、といっては何だが、ド根性女優工藤夕貴の笑顔が、ある種の救いになっている。

童顔ゆえの痛々しさも伴い、一体どんな芸者人生を送ってきたのか、結局は男の力で勝ち組になったSAYURIよりも気になる私。

SAYURIの足袋にマチ針の1本でもしのばせてほしかった。

渡辺謙はロリコンとしか思えず、役所広司はもったいない。

でもいいんだ。ロブ・マーシャルだから。




ロボゲイシャ(2009年・日本)

  監督:井口昇 
  出演:木口亜矢 長谷部瞳 生田悦子 松尾スズキ 竹中直人


一瞬エロを期待してしまいそうなタイトルだが、エログロナンセンスのどのパーツも中途半端にしか満たしていないBマイナス映画の傑作である。

あ、つい傑作といってしまったが、それは見て欲しいから言っただけで、松尾スズキも竹中直人もそのまんま。

称賛すべきは、主演女優であろう。一体どういうオファーがあってこんなことに。
 


要するに、確執のあった姉妹が共に芸者になり、憎みあい競い合いながら…で、どうなったんだっけ?という映画。

爆笑はしないが、慢性的な半笑いが続く。

そして、何でもアリなだけにたまに本気で怖かったりして、先が読めないことがこんなにも落ち着かないとは新鮮…だから、ロボゲイシャが弱そうでも気にしない。


男はなぜ芸者に心を許すのか。
芸者を信用しているのかバカにしているのか。

マシン化した芸者はどこか哀しく、殺られる男は楽しそう…つまりはお座敷遊び?

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チョコは甘いか酸っぱいか

 ショコラ(2000年・アメリカ)

  監督:ラッセ・ハルストレム 
  出演:ジュリエット・ビノシュ ジョニー・デップ 


カカオの力や中毒性は今ではよく知られたものになっているが、これほどまでに人を情熱的にしたり素直にさせたり泣かせたり。私もこの映画を見て思わず「チリ・ペッパー入りチョコレート」を食べてみたりしたものだ。


ストーリーは「フットルース」や「バベッドの晩餐会」みたいで新鮮味はあまりない。

しかしこの映画は、ジュディ・デンチやレナ・オリンといった見ごたえのある女優、そして「なぜ?」と思わずにはいられないビノシュ&ジョニーのカップルを鑑賞するところがミソ。

あと忘れてならないのが、ビノシュの娘役をやった女の子。「ポーリーヌ」のあの女の子なんだけど、なんていい感じに成長しているんだろう!

その屈折して繊細な表情ときたら、あんな母親に育てられ、あちこち連れまわされ、目に見えないお友達にしか心を開くことの出来ない孤独な少女そのもの。

この子がいればこそ、この映画がおとぎ話だけに終わらない。




チョコレート・ファイター(2008年・タイ)

  監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ  
  出演:“ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナン 、 阿部寛 


そう。阿部ちゃんが出ているんである。

しかも結構おいしい役。日本のヤクザで不死身。

いや、本当に不死身だっけ?そんなことをよく覚えていないくらいストーリーはどうでもよく、たとえばインド映画でストーリーよりも踊りに目が釘付けなのと同様、この映画はアクションをとことん堪能すればそれでよい。

なにせワイヤーなし、スタントなし、早送りもなし。

そして、そうやって生身の体を張って次々とアクションを繰り広げるのが細い体の若い女の子という目を疑うような光景が!長いスカート&ボサボサの髪と超人的な強さのギャップが、とにかく快感である。


チョコレートをわしづかみにしてボリボリ食べ、奇声を発して敵をなぎ倒す。まるで舞のようなアクションに見とれているうちに映画は終わり、そういえば阿部ちゃんが出ていたっけ…とふと思う。

アクションは泥臭くて笑えてハラハラできるのに限る。

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ビバ!新撰組

 御法度1999年・日本

  監督:大島渚 
  出演:
松田龍平 ビートたけし 武田真治 浅田忠信  


今のところ大島渚最後の作品であり、また、松田龍平の華々しいデビュー作として映画史に残るであろう一作。

映画ファンならば、公開されるや即効で見たはず。そして、期待が大きかっただけにあーだこーだと何かを言ったはず。


おそらくこの作品は、男性にとってはあまり面白くなかったのではないかと思う。

というのも、見どころが松田龍平の手がお父ちゃんにソックリだの、武田真治の笑顔がまぶしいだの、ああ田口トモロヲが(笑)…といったどうでもいいミーハーなポイントにしかなかったから。

今思い出しても「映画を見た」という気分にはなれず。だって、今さら新撰組の男色っていわれてもねえ。残念無念。


とにかくキャスティングに説得力がないのである。

確かに、まだ俳優になる気がなかった頃の若い松田龍平は胸が苦しくなるほど初々しく、今となってはお宝影像。でも、その素材だけで勝負させるにはこの役は重すぎた。

これでは、彼に翻弄される男たちがバカみたいではないか。

やる気のない神田うのは作品の価値を下げ、精彩に欠けるビートたけしが桜の大木を切るシーンは、コントに見えた。


なぜだ。
何がしたかったのだ。
もったいない。
この消化不良をどうにかしてくれ。

お願いだから、これを最後にしないでくれ。

でも、あと1本を見るのもまたコワイ…。




幕末純情伝1991年・日本)

  監督:薬師寺光幸 
  出演:
牧瀬里穂 渡辺謙 杉本哲太 伊武雅刀 柄本明


つかこうへい原作による「沖田総司は女だった」という奇想天外なコメディ。

ああ、映画になってもやっぱりつかこうへい。

胸をわしづかみされるセリフの数々。そして、バカバカしくもいじらしい男と女。何をそんなに叫び、求め、奪い、諦め、赦しているのか。その熱さに、その哀しさに、泣けてくる。

遙かなりしは昭和である。


坂本龍馬と土方歳三が沖田総司と三角関係になるわけであるが、渡辺謙演じる龍馬が調子がいいだけの軽〜い野郎(女好き)で、「龍馬伝」の後に見るとサイコー。

史実無視のサイケなストーリーと演出に、行き詰った身も心も癒されます。

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食欲減退

 スウィーニー・トッド(2007年・アメリカ)

  監督:ティム・バートン 
  出演:ジョニー・デップ  ヘレナ・ボナム=カーター 


イギリスでは古くから小説や舞台の題材にされてきた猟奇殺人鬼スウィーニー・トッド。

その知名度は、日本で言うと「石川五右衛門」みたいなものか。以前ベン・キングズレーがトッドを演じたこともあり、日本では宮本亜門が市村正親&大竹しのぶで再舞台化。作家にとってスウィーニー・トッドは、どうやらかなりそそられるモチーフらしい。


とにかくものすごい出血量である。凶器がカミソリってとこが怖い。痛い。絵になる。

しかし、パイはとことんまずそうで幸せな人は一人も登場しないが、歌のメロディが朗らかなので陰惨なのにどこかノーテンキ。

「もったいないから人肉でパイを作ろう。一石二鳥だしね♪」

と暗い顔して歌う2人が面白かったのは、私だけ?次々と喉を切られて地下に放り込まれる死体もだんだんコミカルに見えてくる。さすがティム・バートンだ。


ジョニー・デップが達者なのは予想通りだが、今回はヘレナ・ボナム=カーターのうまさを再認識。そして、アラン・リックマン(ファンです)の存在感あってこその成功であろう。

悪役バンザイ!



いのちの食べかた(2005年・オーストリア、ドイツ)

  監督:ニコラウス・ゲイハルター  


 「かもめ食堂」以降「食堂かたつむり」だの「南極料理人」だの、ストーリーよりもおいしそうな料理が話題になる映画が流行っているが、 このドキュメンタリーを見て、命を奪い、それを食らうことが一体どういうことなのかをたまには思い出した方がいい。


淡々と屠殺する人。
淡々と屠殺される家畜。

そこには何の感情もなく、プロフェッショナルに徹している信念や情熱も伝わってこない。

仕事だからやっている。まさにザ・仕事。

しかしそれよりも衝撃的だったのは、彼らの個食シーンである。

食べる楽しみ?喜び?何それ?生きていくのにそんなもんが必要なの?

食材を世に送り出している彼らのまずそうな食事風景からは、そんな声が聞こえてきそうだった。

すごいもんを見たな〜という感じ。しかしこのシーンによって、この作品により深みが出ているのは確か。 

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映画は2本で見ろ!


昔は、映画館の上映作品は2本立てが当たり前だった。今のように完全入れ替え制ではなかったので、その2本を朝から晩まで1日中ぐるぐると見ていられた。

2本立て時代をご存知の方はご存知だろうが、その2本立ての作品は1本がメインで、もう1本はサブ(おまけ)。

だいたいサブの方は、聞いたこともないB級コメディ映画であることが多く、べつに見ないでもいいのだが、せっかくの入場料金がもったいないのでつい見てしまう。そして、期待しないで時間つぶしのつもりで見たら掘り出し物だったということもあったりして、それがまた映画ファンにはたまらない。

特に期待が大きかったメインが面白くなかった時などには、救われたような、元がとれたような気になったものである。

問題は、どちらの映画から先に見るかということである。

メインに感動した後にしょーもないサブを見ちゃったお陰で、メインの余韻がぶち壊しになるのは避けたい。しかし、しょーもないサブを先に見ちゃったお陰で、疲れてメインにエネルギーを注げなくなるのも避けたい。いやむしろ、しょーもないサブの口直しとしてメインを後にするべきか…これがなかなか悩ましい選択で、見る前に考えてもしょうがないのに迷う。

私はそんな2本立て時代が懐かしい。

最近は、映画はむしろ2本立てで見るべきではないかとすら思う。

食い合わせの妙っていうんですか?

実際には食い合わせなんか無視したムチャな2本立てばかりだったけど、もし「これとこれを一緒に見たら、違った方向性で楽しめる」「組み合わせだけでウケる」なんていう2本立てがあればオモロイじゃないかと…少なくとも私には面白い。

そう思ったので、このブログで原稿を書くことにした。

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降りられない…

 

海の上のピアニスト1999年・アメリカ=イタリア

  監督:ジョゼッペ・トルナトーレ 
  出演:
ティム・ロス ブルット・テイラー・ヴィンス
 
 

豪華客船で生まれ、そのまま置き去りにされた主人公。その後彼は船員たちに育てられ、船から一歩も外に出ないで成長していく。

舞台が「山頂に建てられた山小屋」でなく「広大な海に浮かぶ船」というところが、我々のお伽噺心を刺激する。海は動いているので、彼のいる場所は閉鎖的だが流動的。彼はその場を動かないのに、彼を取り巻く人や風景は移り変わるのが面白い。

「海+ピアノ」という組み合わせもロマンチックで、このタイトルにソソられた観客も多かったと思う。


しかし、私はここで言いたい。

船の中とピアノしか知らないで育つというウブな役をティム・ロスが演じるというのは、いかがなものか。

人生の酸いも甘いも知っているような苦労顔。
トレンチコート姿が刑事みたいなティム・ロス。

もうちょっとポワー〜ンとした表情の世間知らずな坊ちゃん風俳優がよかったのでは?

笑顔が無邪気でキラキラしている人。ティム・ロスが笑っても、なんだかワケありに見えてしまうんだよねえ。

じゃあ例えば誰?と言われても思いつかないが…ユアン・マクレガーもちょっと違うし(ピアノが下手そう)。う〜ん。無名のイタリア人俳優でもよかったかも。


俳優のイメージってコワイですね。つくづくそう思った作品でした。


2005年・韓国

  監督:キム・ギドク 
  出演:
チョン・ソンファン ハン・ヨルム ソ・ジンク


何を隠そう、私はギドクのファンである。なので作品は全部見ているが、その中で本当に面白かったものは少ない。

でも、見続けている。それがファンというものである。


その私が言うのだけど、この作品だけはどうフォローしてよいのやら。

粗末な釣船に誘拐してきた少女を軟禁し、彼女が
17歳になったら結婚するとカレンダーに×印をつけている老人。たまに嫉妬に狂ってその印をごまかす姿が、哀れで滑稽で、これのどこが「最後まで弓のように凛とした生き方」なのか私にはさっぱり…大袈裟な仕掛けをしたって結局のところ目的は…と思うと、力が抜ける。

 「悲夢」でもちょっと予感がしたのだけど、大丈夫だろうかキム・ギドク。

でも、ハッとするような映像センスはまだ健在。

新作待ってます。

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